第四章 人間愛
いま、一番取り戻さなくてはならない感情がある。
この世の中には、いくら頑張ったところでそうしようもないという局面があります。そしてそれを受け入れるしかない、でも受け入れてられないときに、「頑張れ」という言葉はほとんど意味をなさないのではないでしょうか。そういうときはなにも言わずに、側にいて、相手の顔を見て、黙って、相手の話を聞く。言葉が出ないときはそっと相手の心に寄り添って笑っている。そして、少しでも、自分のほうに相手の苦しみが伝わってきますようにと心の中で願う。そういう感情を悲というのです。