校庭に出る。
足の速い子、キャッチボールのうまい子、高く跳べる子は、ひろい場所で自由自在だ。
けれどそうでないのは、隅っこで小さくなって、遠慮している。
ここでも「順位」だ。
教室と庭では、位置がたいてい逆になる。
かわいそうなのは、どっちにいってもミソッカスにされる多くの子たちだ。
お前はダメ、きみはダメというのを叩き込まれて、
やっぱりオレはダメなのかな、とついに思い知らされてしまう。
この世に生まれたときはだれでも、自分と宇宙がまるで同じ大きさのように、
のびのびとふくらんでいたのに。
しかも、卑劣にも家庭にまで通知して、身の置きどころをなくさせる。
家に帰ると、両親が口をトンがらせて、
「お前はダメなそうじゃないか」と怒鳴る。
親まで共謀して、みずみずしい人間性をスポイルさせ、劣等感を叩き込む。
順番なんて、人間の価値とはなんの関係もないんだ。
孤独がきみを強くする 著:岡本太郎 より